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オランダのユトレヒトで実験されていたBasic Incomeの実験がReview(精査)段階に入ったようです。

ただ、この実験では本格的なBasic Incomeのテストをしているわけではなく、フィンランドと同じように社会保障給付を受けている人に対象は限られるそうです。

 対象者の300人は対照実験のようにいくつかのグループに分けて比較されて、基本所得の900ユーロ、そして、所帯のある人には1200ユーロ支給されて、その他のグループにはいろいろな規則や条件がつくそうです。オランダではその他GroningenTilburgWageningenが社会実験の承認を待っているそうです。

 日本では少し想像できない人も多いかもしれませんが、所得要件を廃止したり、福祉給付の条件を無くしたらどうなるか、といった効果をメインとして実験しています。これはフィンランドの時と同様だと考えられます。要するに金が切れるのを恐れる…という感じです。

 どんな条件を課せられているかというと、2015年に制定されたThe Dutch participation act.を根拠として、1週間に5回求人の応募を完了させて、グループミーティングに参加して、Training activity(職業訓練)に参加するという条件があります。

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ただ、それって不味いんじゃないの?という人も居ます。なぜなら…

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支援者にお金を渡すことに条件を付けることによって、その個人の本質的な「動機付け」を混乱させる。そして、そのお金を失う恐怖は合理的な意思決定を妨げる考えを生み出すかもしれないと批判しています。

例えば「俺は車のエンジニアとして再就職すればきっと上手く行くけど、5件応募しないといけないから、なんか違うけど製造機械のエンジニアの求人応募してみようか」とか、ミスマッチが起きそうな求人に給付を得続けるために応募する…というような感じでしょうか。

(なんか日本の新卒就活生みたいな…感じを思い出してしまった。でもこういう社会を作ってる責任は現役の大人の方にあるのは間違いないんだけど)

要するに、普通のBasic Incomeではなく、上記のような仮説を検証するために設計された実験ということなようです。それで、Basic Income対象ではない人たちと比較して、労働市場への参加や、債務、健康、および人生の満足度について評価されたそうです。

 ただThe Dutch participation act.から合法的な社会実験の範囲も規制されていることもあり、そしてオランダの省庁としては、より厳格な条件が導入された追加のグループも対象とした実験を要求していて、GroningenTilburgWageningenについては、そのような実験を当局は提案しているらしいです。

 やはり、日本のベーシックインカム界隈と違う面は街や国単位の実験では「いかに人を労働市場に参加させるか」ということをヨーロッパでは考えているなと、フィンランドやオランダの面から考えました。

ただ、日本の社会保障を考えた時には、日刊スパで「生活保護受給者がメルカリで現金を落札していた理由」という記事であったように、貰っていた給付が無くなるのを恐れるあまり、メルカリで現金を落札するという非合理的なことをしなければならなかった(合理的な行動はそのまま現金を出金する。しかしそれをすると生活保護の額が減る)という記事があり、通じるものがあるのではないかと思いました。

 

 この事例を基にBasic Incomeを提案すると、娘2人と母親でトータルのBasic Income20万円を確保するという制度設計は大切かもしれないです。そうすれば、メルカリで何を売ろうが大丈夫となるのではないでしょうか。その場合またオランダの1200ユーロでも十分ではないわけです。

 おそらく、オランダの実験した結果が出たあと、日本では事例か何かで騒がれて、なんか知らない間に皆に忘れられるだろうなっと考えています。

やはり、自分たちで社会実験をガンガンやるみたいな国がいち早くデータを確保できるという面では強いし、先に進めるのかなと思いました。

例えば小学生7万円、中学生7万円、母親6万円で20万円みたいな感じ…というか、やはりヨーロッパと日本で実験の結果も、理想的な制度設計も変わってくるのではないか、他の国の事例を参考にすることはできるけれど、社会問題を解決しようという時に、インストールすることはできないのではないかと思います。

私が今のところ、日本でBasic Incomeによって解決すべき問題は、Basic Income1で紹介した通りです。

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