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6月になりましたが、今日は2日前のニュースの話です。前回のザッカーバーグ氏に引き続き、テスラモーターズのElon Musk氏もBasic Incomeの必要性について強調したようです。その理由としてオートメーションが労働者の仕事を奪っていくことを挙げているのですが、私がそこで気になったのは…

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「税収」

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についてでした。

 FacebookMicrosoftと違って、テスラモーターズって製造業で、たぶんトヨタみたいに沢山の工員を抱えちゃったりしているのかなーなんて思う一方で、労働者から仕事を機械が奪ってしまって失業した場合、その労働者から徴収できるはずのIncome tax(所得税)が徴収できないわけで、税収即ち、Basic Incomeの財源に影響の大小ありますが、影響があるわけです。

 じゃあ「法人税」上げれば良いじゃんと考えるかもしれませんが、法人税は企業が赤字の場合払わなくて良いので、法人が黒字であれ赤字であれ労働者に給料が振り込まれ、そこから弾き出される所得税とはだいぶ性質が違ってきちゃう…というわけです。

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 じゃあ…人間の仕事を置き換えた機械に… 課税… する?

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ただこれ固定資産税ともまた違うと思うのですが、まぁ無い頭で考える、その前に何かないか調べてみましょう。日本語ソースで発見したのはマイクロソフトのビル・ゲイツ(Bill Gates)氏がロボット税について言及しているという内容でした。

 

すごい乱暴に計算をすると、ロボット税=仕事を奪った労働者に払った給与に対する所得税固定資産税

という感じでしょうか。固定資産税の方が高い場合はロボット導入しないと思うので、そして人間も病気になるので、減価償却費がロボット税と相殺する必要はないと思います。

いやいや、人から仕事を奪わない機械も固定資産税あるのだから固定資産税+ロボット税だろ

という考え方もあると思います。

 

じゃあロボットは仕事を奪ったけど、労働者を首にせず社内の別のポジションへ振り替えた場合は?

という場合、ポジションが無くなったので、ロボット税払わなければならない、と考えるか、ビル・ゲイツ氏を参考にすると、ロボット税は人間にしかできない仕事にロボットから仕事を奪われた人を振り返えて適応させるための教育や必要な費用を賄う必要から来ているので、「ロボット税はとりあえず払い、社内で人を振り替えて、トレーニングをし、一定の期間定着した場合は還付される」とするのか議論がありそうです。

完全に払わない場合、その後労働者が定着できなかったら、財源が回収できないままになってしまいますので、その辺も議論が分かれるような気がします。

もう一つメンドクサイのが、日本の場合、派遣社員とか契約とか社員とかで、同一労働同一賃金ではないので、税金の試算がめんどくさそうです。この際一番高いところに合わせてはどうでしょうか。欧州だと税金の試算が単純で良さそうで、フットワークが軽そうで良いなという感じもします。こういう弊害もあるんですね…

あともう一つはイノベーションについての論点があると思います。

ーーーー記事( http://gigazine.net/news/20170220-bill-gates-robot-tax/ )から引用ーーーー

Quartz
ロボット税によってイノベーション(技術革新)が妨げられない方法を見つけ出せますか?

ゲイツ:
ロボットの登場によって労働者が代替されることが「損失」だと人々が議論する時には、課税レベルを上げてロボットの導入速度を落とそうとするべきです。ロボットの登場で、どの分野が大打撃を受けるでしょうか?どのような移行プログラムが機能して、どのような財政支援が求められているでしょうか?

ある分野におけるロボットが人を代替するペースは閾値を一気に超えます。倉庫作業、運転、ルームクリーニングなどは今後の20年間で意味を失う職種です。これらの職種に就く人を意味ある存在にすることこそが、純粋な利益になります。そうできるような政策を持つことが重要です。

人々は起こっている技術革新を理解すべきです。技術革新について熱狂するのではなく、不安を感じている状態は良くないことです。それは、技術革新が何か肯定的なものにつながらないことを意味するからです。ご存じの通り、「課税」は何かの行為を「禁止」するよりもずっとよい方法です。

Quartz
このような社会構造の変化を、企業サイドに任せるよりも、政府が積極的に重要な役割を果たすべきと考えていますか?

ゲイツ:
企業側には解決できないでしょう。不平等を解消するために何かをしたいと思うならば、職にあぶれた労働者が収入のさらに少ない人たちを助ける必要があります。つまり、高齢者や障害者のための社会サービスを向上させ、教育分野に多くの人を配置することを意味します。「もっと裕福になれば、人々はより多くの物を買うだろう」という経済構造はあります。しかし不平等の解消という点においては、政府こそがより大きな役割を果たせます。課税政策の優れているところは、論点を分けられるところです。「新たな課税で税収を得るべき。では、税収はどの分野につぎ込むのが良いだろう?」という風にです。

ーーーー引用終わりーーーー

それがまさに課税政策の優れているところです。例えは悪いですが、「輸入禁止より高い関税の方が良い」のですよね、

課税っていうのは物事を禁止するよりずっと良い手段だし、一気に閾値を越えるような急激な変化による悪影響を軽減することができるかもしれません。ただ最終的には変化を受け入れなければいけないので、そこに留まることはできないでしょう。

日本だと良い例が思い浮かばないのですが、機械が大量の労働者を置き換えた例と言えば自動改札機でしょうか。

もし、禁止したら日本の駅に自動改札機がなくて、未だに鋏を持った駅員がパチパチ音を言わせていたのかもしれません。国鉄では自動改札機が人員整理に繋がるという労働組合の反発があって、民営化以降に本格的に普及し、私鉄より20年も遅れることになったようです。もしこれが国鉄私鉄ではなく、国家VS国家だったら?っていう視点だと寒気がしますね。

ちなみに私鉄の場合は、新卒採用、中途採用減らすことによって人数調整したらしく、自動改札の初期費用は不正乗車の抑止によって、すぐに回収できたらしいです。

でも、改札鋏を作ってた人は…とか考えると、Basic Income的に考えると、Basic Income貰って無料の職業訓練からの新しい仕事という感じなのかなと思いますが、その場合機械税は…と考えると複雑になってきますね。

同時に職業訓練は無料でなければ成り立たなそうな感じもします。

私たちは今、「機械に仕事を奪われる」という状態に怯えるという状況にあるのかもしれませんが、Basic Incomeによってオートメーションによる変化をより前向きに受け止められるようになるのかもしれません。そのためにロボット税は検討の余地が出てくると考えられます。

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