日本の自殺防止電話サービスに繋がるまで、たぶん30回も40回もかける必要がある。
回線が非常に混みあっているから…
多くの人が、多くの問題を抱えているが、誰にも話さず、聞いてくれる人もいない。

一生のお願いだから…誰か電話に出ておくれよ。

今日Facebookを見ていたら、「自殺者1万人を救う戦い  SAVING 10,000 – Winning a War on Suicide in Japan  」というタイトルの動画を見ていた。約53分あるが、一気に見切ってしまった。
53分視聴する価値は絶対にある。なぜならこれは我々の社会に対する問題だから。

でも53分ない人のためにChapter別に動画の内容を紹介し、感想書いてみることとする。


まず0:00は冒頭、動画の概要について自殺の名所である東尋坊と共に紹介されている。

2:18 日本の自殺者の数とそのインパクト、自殺率について紹介

日本では過去10年に30万人が亡くなっている。30万人という数字はどのくらいのものだろうか。

他の国と比べてどれくらい自殺率は高いのだろうか。自殺…その異常さがうかがい知れると思う。

2:55 Chapter 1  自殺ウィルス The Suicide Virus

ここでは、きっかけとしての自殺、そして影響を及ぼすマス・コミュニケーションについて。

また人々の頭の中に造られる自殺のイメージについて

最初に取材を受けた人は、「自殺率は高いままで、それが正直どうしてかわからないけど、自殺というものは常に頭の中にあるような気がする。」と語る。

新聞やメディアで見聞きして、誰かが自殺していることがわかる。
また日本人の自殺の傾向として、他の人に習う傾向があるという。
その例として自殺サイトなどを挙げている。

次に過去の自殺の例として、日本人作家の自殺率について言及し、「なぜ東尋坊や足摺岬は自殺の名所になったのか」という点について、そこについて書いた作家を挙げ、それがCapeを自殺の名所にしているとして、小説の影響を挙げている。また、その影響として自殺のイメージについて、自殺を美しいものとして描いた三島由紀夫に言及している。

また自殺マニュアルの本についてと、それを参照して自殺した少年の話が出てくる。
もし、自分の子供がそのような本を持っていたら、それについて真剣に考え、子供に自殺は最善の方法ではないと説明すべきだと

11:20  マスメディア、特にテレビの影響について

ここでは、なぜ自殺を事細かに描写するのか。
どうして人はそのようなニュースに飛びつくのか。
テレビは自殺を視聴者を楽しませる手段だと考えているのではないかと疑問が投げかけられる。

また人が自殺するシーンを描写することによって、人々は「自殺をする」ということに対して、イメージをしやすくなるが、体に損傷ができたり、手や足がなくなってしまったりといった醜い側面を映すことはないと言及される。

15:36 Chapter 2 Economics

まずは職を失ったが家族を養わなくてはならない、ローンがまだ残っているといった場面で、生命保険金をその解決手段として自殺する例が紹介されている。

「なぜ保険会社は自殺者に保険を支払うのか、保険を目当てに自殺させないでください。家族を残して死ぬことを奨励しないでください」

「夫ではなく金を取る家族がいるのだろうか」

私にはわからない。

17:17 消費者金融と自殺の問題

ここでも言われているが消費者金融は「規制が非常に難しい産業」とされている。
意外とセンシティブな問題がそこには介在するようで、(私はそうは思わないけど)テレビで報道されることは少なく、テレビでCMもバンバン流されていることに私は違和感を感じている。

ここでは消費者金融が債務者に生命保険の契約書にサインさせ、多重債務の結果として人が死に、保険会社は人の死によって支払われる生命保険金によって利益を得ていることが紹介されている。そしてヤミ金についても言及されている。

そして我々の責任感を利用した取立ての仕方によって債務者をを殺し利益を得ると…

日本にイスラム金融ルールを導入したくなるような話だ。

20:22 残業の問題について

誰も正常な精神状態で自殺したりしない。

次に日本社会特有の過度な労働によって精神状態が異常になり、自殺してしまうといった問題。
日本社会は明確な雇用契約書ではなく、「空気」によって人を縛っているような感じだ。
例えば残業も、私は仕事は済んでいるけど、残っておつきあい残業しないといけない「空気」だからだとか。

睡眠不足や過度な労働、上司からのいじめ、長時間の強制労働、達成不可能な仕事
「私はだめな人間だ、もう逃げ出したい、もう限界だ。」

そうして人は欝になり、最終的には自殺してしまう。

現に日本人の1/3が鬱になりかけているorなっているといわれている。

24:45 Chapter 3 社会 Demographic

まずは日本の家庭での教育の考え方について

「いい学校に、いい大学に入らなくてはチャンスが無い」と出てくる。
また、日本の大学では自殺率が非常に高くなっているらしい。

私自身はそういう世界に生きてはいないし、自殺の瞬間とかを大学で見たことは無いが…

25:48 学校でのいじめの問題

学校でのいじめの問題と、それを無視する学校の問題が挙げられている。
この前の滋賀県大津市でのいじめが原因で起こった自殺が記憶に新しい。
その時も周りの大人が保身に走っていて、これが現代日本の社会なのかと衝撃を受け、とても悲しいことと思ったが、残念ながら真実であり、1つの側面だと思う。

またそこにいる大人、先生が生徒へのいじめをリードした例についても証言されている。

自分の義務教育中や、高校生のころ、とても狭い世界に生きていたと感じる。
授業が終わり、部活をして、帰ると1日が終わっている。土日も部活をしていた。ほぼ1年中、学校となんらかの形で関わるようになる。外には沢山他のことがあるにも関わらず、外の広い世界とのつながりは持てない。とても狭い世界で居場所がなくなってしまうようなものなのかもしれない。

また、子供にとって学校でも家でも落ち着けないというのはとても厳しい話だとは思う。

27:18 自殺の兆候や追い詰められている人に気がつかない。気がついても何もできない社会について語られているように感じる

リストカットによって病院に運ばれてくる人、DVの問題と、それに対処する公共の施設に行ったときの体験などが語られている。

30:30 60歳以上の人の自殺

60歳という年齢として最初に思い浮かべるのが、「定年」だと思う。
自殺者の1/3は高齢者というが、その実態についてはあまり語られていないそうだ。

20:22で語られている厳しい社会を行き抜き、定年を迎えたら、

毎日行く場所がなくなり、自らの拠り所であった社会的地位がなくなり、趣味が無く、友人もいない、そしてどうすればいいかわからない。

また寝たきりの人や足が動かない人の状態にも言及がある。

「もし、あなたが一人暮らしなら日本は非常に孤独な場所だ。これはこの問題のキーファクターだ。特に高齢者にとって。外出もできなければ、出会うこともない。孤独はたくさんの人を殺している。」

33:30 パチンコ

これも消費者金融と同様にセンシティブな話として語られているし、今や警察がパチンコに天下りをしている例も多い。私は常日頃からパチンコ屋なんて消えてなくなればいいと思っているが、世間的にはそうもいかないらしい。何故かしらないけど。

「ギャンブルは違法だ。だからここで見るものはギャンブルでは無い。ギャンブルのように見えるだけで。人はお金を儲けたり、損したりしている。巨額の債務を背負う人もいる。でも日本にはギャンブルに依存性は無いらしい。そして、自殺や借金など否定的なものとは全く関係がないらしい。」

でもやっぱり駅前に平然と賭博場があるということは、日本の社会が異常である証明だと考えるのが世界一般的に見れば普通だと思う。そしてこの矛盾をあと何年背負って、何人を殺すのだろうか。

3:34 アルコール

日本にはアルコール依存症について治療する機関がほとんどなく、また統計も存在しないらしい。
初めて知ったが、そう考えると驚きである。

36:50 Chapter 4 自殺防止 Suicide Prevention

「あれがブルーライトだよ。この青い光を見れば全てがうまくいく。全ての悩み事や心配事が消えていく。」

「安っぽい自殺防止対策だ。正直ブルーライトなんて全く冗談だと思っていた。」

電車で自殺するのは効果的な方法だと思ってる人は多いが、実際4割は死ねない。
手足がなくなったまま生きているようなのだ。

また、アパートで自殺者が出た場合、大家が家族にお払い料を請求するらしい。
ここで取材を受けている人は、この「お払い料」を人権侵害として説明し、意見を述べている。

40:10 1つの自殺は10回の未遂から起きている

日本では救急救命センターに運ばれる1割から2割が自殺未遂で運ばれてきているようだ。

逆に言えば、病院は多くの命を救える可能性があると言及し、何か対策をしてはどうかと言及している。彼らは何度もリストカットを繰り返しては病院に戻ってくるそうだ。

42:13 日本のメンタルヘルスについて

「ついにグランドゼロに来た。日本の精神衛生制度では、鬱病の恐怖に直面しているとき、日本人はどんなサポートを受けられるのだろうか。

ここでは日本の精神衛生制度の課題について語られている。
日本の年間の自殺者3万人のうち1万人は既にメンタルケアを受けている。

でもそのメンタルケアの内容はどのようなものなのだろうか。
また、日本の精神科医はより多くの患者への対応に迫られているという点
そして西洋社会で期待されるような、個人療法、集団療法、環境療法などはあまり取られていないようだ。

45:42 東尋坊

ここは解説はしない。自分で視聴してほしい。

この動画は日本の社会の病巣というものを考えたときに非常に意義深いものに思えた。
1日に52分動画を見れないという人のために、重いTopicを続けて見れない人のために、1日少しずつでも全部見て欲しいので、この記事を書いてみた。