パキスタンにグワーダル(Gwadar)という港町がある。バロチスタン州のこの町は別名風の門とも呼ばれる。アラビア海に面したこの町は過去にはオマーンの領土だった時代もあり、その時に自由港だった経緯からアジアへの門の一つとなっていたようだ。

地元の人は、ここがバロチスタンだった背景からペルシャ語系のバロチ語を話し、イスラム教スンニ派を宗教としているようだ。

 

 

 

 

では、少しだけこの町の港の通りを見てみることにしよう。

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あれ、写真を間違ってしまったのだろうか… ここって中国ではないはずなんだけど…

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もう1枚探してみよう

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なんかやっぱり中国っぽいが、写真にはパキスタン人っぽい人が写っている。
実はこの町の港には中国の一路一帯の影響で、中国の投資が入っているらしい。
だからと言って港の通りを中国名にしなくてもとも思うし、名前が新疆(新しい領土)路ってのもちょっと興味深い。おそらくはシルクロード繋がりなんだろうけど。

そしてこの港自体も主に中国が利用しているようだ。実は今、この港の整備にあたってパキスタンが中国から借りたお金、所謂借款がパキスタンの政界、そして中国やアメリカまでを巻き込みつつ混乱を引き起こしている。

実はパキスタンが中国にした借金の額と利子が重く、パキスタンは今財政危機を迎えている。日本と違う点はこれが対外債務で相手は中国、そして貸し付けたのも中国だ。パキスタンは結果的には中国から金を借りて、中国のための港を作り、中国の利子を払わなくてはならなくなった。
この様子をバロチスタン(Baluchistan)の人はどのような心持ちで見ているのだろうか。中にはそれを快く思っていない人もいて、港湾労働者が襲われたなんて話もあるらしい。彼らにとって中国人に似てるであろう日本人の渡航はお勧めできない。

また、この件を「Debt Trap」と批判していたりする人や、債務の危険性を指摘する声も大きいが、中国は聞く耳を持っていないようだ。

借金地獄に悩んだパキスタンは従来の国際ルールに従ってIMFに助けを求める。IMFの融資の実施に基づいて、この危機を乗り越えようという話なのだ。だけど、事態はそう簡単にはいかなかった。アメリカ政府はパキスタンがテロリストを支援している可能性を疑っている。
しかし。それはたぶん重要だけどメインではない話で、もとはと言えば世界各国の納税者によって支えられているIMFが、パキスタンが中国と結んだイニシアチブに無責任にサインしてしまったにも拘わらずパキスタンに融資し、パキスタンが中国に対して高利の返済をした場合、最終的に勝つのは中国の銀行で、IMF加盟国は割を食うことになるだろう。

なぜなら、パキスタンの他にもスリランカなどこうした事態に直面し、中国から金を借りている国はたくさんあり、IMFがパキスタンを救済した場合、他の国も救済しなければならなくなる点、そして中国から金を借りた国をなぜIMFが救済しなければならないのだろうという疑問が浮かんでくるのが自然であろうと思う。
つまり賄賂とか何か貰ったのか知りませんが、中国への返済目的でのIMFの支援は許さないし、そういう無責任な契約を結んだのは一路一帯加盟国で金を借りた人たちだろう?という空気も当然出てくる。
(日本では報道されてないので、そういう世論は出てきてはいないけど、元はと言えば税金なので)

そのため、パキスタンの首相の椅子を確実視されているImran Khan氏はジレンマを抱えているようだ。
クリケットでパキスタンを優勝に導いた彼が首相になるのは世界的に見れば珍しいパターンだと思う。
彼はダーウィンの海を乗り切って、パキスタンという船を港へと導けるのだろうか。

現在パキスタンの他にもこうした中国による借金に悩む国は多く、債務危機となると世界を停滞させる恐ろしく有害な債務となりえると筆者は考え、心配している。なんてKiasuで有害なんだろう。