2車線の時々工事中、時々小さな教会と、延々と続くだだっ広い草原、そしてバスはインターを降りて路面電車とすれ違うようになると、Poznanに到着した。駅とバスターミナルが連結された巨大なモールが目立つ。バスは1時間遅れて8時30分着だが、街はまだ明るい。
今日はどうも18分くらい歩くらしい。市の中心部を目指して歩き続ける。重い荷物を持って歩くのはキツいという人も居るが、ヨーロッパの場合は道がよく整備されているし、日本人の自分にとっては普通の街並みですら見応えがあり、飽きないので、景色に集中しすぎて宿を通り過ぎたタルトゥ以外は、意外と宿への道は短い。
宿に着くと、そのドアにはインターフォンと閉められたドアがあり、戸惑う。インターフォンに「6-Hostel」と書いてあるので、おもむろに6番を押すとドアが開いた。「あぁなるほど…」
ポーランド人のお兄さんに「たぶんここしかないよ」みたいな感じで2階建てベッドの上段にベッドは決まった。
不思議と誰も部屋にいなかった。「あぁ今日は土曜日か…」
とりあえずチェックインして街に出る。街の中心の広場で小物を物色していると、小太りの女に声を掛けられた。「Maybe you need some food or beer?」みたいに聞いてくる。「おぉ いいね!」
Oh alright! What kind of food?と訊くと、Sorry?と小太りの女…
OK, What you offer?と訊くと、We offer the strip club over thereと言って小太りの女は広場の反対側を指さした。Haha Ok, it’s fine! Not today, thanksと言ってその場を立ち去る。
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「ストリップは食えねぇよ」
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9時を回って日が暮れてきた。この広場の一角にはピザ屋がある。窯の中でチーズっぽい臭いと、焼いたピザの香りがして、ちょっと本当においしそうだ。そして値段を見たら30ズロチだった。「よし…やめよう…」
賑やかな広場の露店とレストラン、オープンテラスでグラスを傾ける人、カラフルな傘を片手にしたストリップの勧誘、そして店の方をずっと向いている謎の集団がいたので、見てみると、ビールを飲みながらサッカーの試合を見ていた。少し、広場をぶらぶらすると、向こう側から歓声が聞こえた。「あぁ…入ったな」
カメラで広場の写真を取ると、そこには静かでロマンチックな空間があった。しかし、実際は写真で伝えきれないだけの、書ききれないものがそこにはあった。
この日はスーパーでコーラを買い、肉屋のおばちゃんからチキンを買った。照り焼きにされているチキンがおばちゃんの後ろでクルクルと回っている。「kurczak 1/4」って書いてあったので、これだろと思った。
おばちゃんは「Europeanじゃないのか…」と言っていたが、「クルクザクとか言って指で窓ガラス越しに1/4を指さした。
ポーランド人は物を買った後で、「ドゥビゼニャ(さようなら)」と言うのだが、おつりをもらった段階でありがとうと混合して使ってたので、「ジンクイエ」とおばちゃんに修正される。やっと意味がわかった。
おばちゃんに「ジンクイエ! トゥビゼニャ」と言うと思いきりスマイルしてくれた。最初の印象を覆せたのかどうかはわからないが、まぁ結果オーライだ。
宿に一度帰って来てチキンを食べる。フロントのスタッフさんが女性に代わっていたので、声を掛ける。
「ジェン ドブリュィ」
「Dzień dobry!」
まだ、発音が若干違うけど、まぁ通じたのは進歩だと思った。チキンを貪った後は、なんとなくクラブとか探してみよう。ポーランドのはどんな感じか知らない。
クラブのエントリーはフリーだった。よし行こう! そしてビールを頼む。他の人のレシートが見え、24ズロチ払おうとすると、「あんたのこっちよ!」みたいな感じで8ズロチのレシートが出てきた。ポーランドのビールも美味しいなと思った。ビールを飲みながらダンスフロアを見るとポーランド人の女学生っぽいくらいの人が踊ってる。中年のおっさん2人がそこに絡もうとしているが上手く行ってなさそうだ。
10分後おっさんが撤退、そして30分後に女性集団がソファーで休み始めた。古いアメリカ製の曲が流れている。「おれ生まれてんのかな…」って思いつつビールを乾杯して、なんか良さそうな曲を持つことにした。おっときたきたきた? Don Omarの曲が来たので、踊ることにした。隣には男性1人、女性3人の集団がいた。
男が話しかけてくる「Yeah! Let’s enjoy this party tonight!!」と耳を叫ぶ。Goodサインで返答する。
男はコスタリカ人、女性の一人はイミグレの女性、そしてあと2人は30代くらいのキレイ目な女性だった。白いドレスと黒いドレスがいて、コスタリカ人は黒い方が好きらしい。そしてコスタリカ人は歌える!
隣のジモティーのおっさんはサルサのステップを踊る。「たぶんダンス知ってれば人生もっと楽しくなりそう」と思いつつ、精一杯のステップで楽しむ。楽しくなってきた。
ダンスフロアの角からターンをして、イミグレを通過し、広いダンスフロアの内側へ出る。そこでしばらく4人組を見守りつつ踊り続けた。
あれっ向こうから誰か近づいてくる…