前へ

 朝起きると、なんとなく南はもういいやと思った。なんとなくそこらへんで食事を済まし、ホテルでネットをいじいじした後に、列車に乗り込むことにした。バンガロール駅の外国人窓口は高齢者や障碍者用の窓口と一緒でひたすら待つことになる。インドのご老人が「しにあー」とか言って外国人の順番を抜かしていく。窓口のおばさんが良い人層でよかったけど、「クレジットカードは使えない。おつりはないからぴったり払って。」とかないない尽くしで結局クレジットカードが使えるローカル窓口に行った。

 チェンナイまで900ルピーくらい払って、チェンナイパトナエクスプレスという全室エアコンの特急列車に乗る。列車に乗り込むと、荷物棚が荷物で占拠されており、自分の荷物がおけない。小さなかばんなんかも網棚に無造作に置かれている。

 スーツケースをスペースを取らないように縦にすると、なぜか自分の席に座り込んでいるおばさんに「縦にしないで」と言われ、「でもスペースがないよ」と言うと、「しらないわよ。他の荷物をプッシュしてスペースを作ればいいのよ ふん!」みたいな感じだった。

 なんとか空いているスペースを見つけて、そこに荷物を置こうとすると、後ろからサリー姿の人が「Excuse me」と声を掛けられ、「私の夫の荷物をそこに置きたいの」みたいな感じで無言で小さな荷物と荷物棚を指さす。その人の夫が「そこのスペース使えよ。おれはOppositeを使うから」と言ってくれて、辛うじて荷物の収容に成功した。

 この特急はなぜか食事が出てくるが、「チキン? ビーフ?」はここがインドなので無いにしても、選択肢は「べジ? ノンべジ()?」である。どっちを選んでもカレーである。カレーは嫌だという選択肢はどうやらなさそうだ。

 ノンべジでチキンカレーとごはん、チャパティーなどをむしゃむしゃと食べた。やっぱり900ルピーの列車はすごい。言っても1,800円くらいなんだけど。

 列車は行きより1時間早くチェンナイシティ駅に到着した。この日はそのまま駅のRetiring roomに寝ようと思った。シティ駅の階段を上り、Retiring roomまで来たが、1865ルピーだと言う。そしてお金が足りないのでATMに行くと、ATMがほぼ全部Out of serviceだった。さすがインド、やってくれるじゃねぇか。

 結局その日はエアコンの休憩室に入る。そして座りながら寝ることにした。どうせ次の列車で寝転ぶことになる。そう思うとどうでもよかった。

テレビではクリケットの試合がやっていた。誰かさんの子供が眠りを妨げるのを完全に無視して、そして大事な荷物を抱え、もう半分は足で踏みつつ、石のように眠りについた。

次へ