寒いベトナムはハノイの昼下がり、私は服を洗ってくれるランドリーサービスをしてくれるお店を探していた。服から食事とか潮の香りとか、まぁいろいろな匂いがするのだ。
ホステルを出た瞬間ランドリー屋さんが複数あり、15,000ドンで1kg洗ってくれるらしいので、そこでお願いすることに。
どうやら見た感じ写真などが貼り出してあり本業はツアー会社らしいので、ダメもとで聞いてみることに。
「Do you have one day halon bay tour?」
「Yes, pick up here?」
「Yeah, I would like to be picked up here and come back here」
「We have」
「How much?」
「25USD」
「Okay, I buy the ticket」
ということで唐突に翌日のハロン湾行きが決まった。明日8時集合らしいので寝坊に気をつけよう。
窓のない部屋、真っ暗な世界にアラームの音が響く。アラームを停めて携帯をライト代わりにこっそりと着替えシャワー室のドアを開けて電気をつける。お湯と照明が目を覚ます。
外に出てツアー会社にいくと3人ヨーロッパ系の若者が待っている。
1人はドイツ、そして2人はスウェーデン出身らしい。
修学旅行の朝のようにみんな静かだ。そして私は今日は私を含めて4人かぁと思った。
ベトナム人のガイドが現れ、彼についていってバスに向かう。
ガイドは途中唐突に姿を消し、他のホステルのドアに立つ。そしてそこから2人若者が出てくる。
そうしてバスにたどり着くと10人くらいのツアー参加者が現れる。
最終的に参加者でバスは埋まり、参加者は30人くらいになった。
主に若者で、2人は社会人っぽい。そして1人はおじいちゃん。
おじいちゃんは体が動かないようで、バスの会談の上り下りに介助が必要だ。
バスはハロン湾に向かって出発した。
ハロン湾までは途中高速道路ができて、日帰りで旅行できるようになったようだ。
ベトナムのガイドがいつも通り案内を始め、道路にはルールがないこと、バイクはKing of roadであること、ヘルメットはただの飾りであることなどベトナムの交通事情を説明する。
そしてツアー参加者が車移動で疲れ切ったところで、目的地に到着する。
みんなでフランクに自己紹介を始めたり、出身地聞いたり、今までの旅先やいったところについて話し始める。
今日は日帰りの他に、ハロン湾の船に一泊したりする人もいて人が多い。日帰り班は少数派で12人くらいだ。
そして船に乗船し、日帰りと一泊コースの人は別々の船に乗り込み、いざ船出となる。
その後、船の中でランチが出てくる。
メインディッシュが魚であとは野菜というアジア人向けコースで、ドイツのセバスチャン氏、カナダ人の夫妻は魚がうまく食べれないか、胃袋を心配しているようで遠慮していた。
結局スウェーデン人と日本人しか魚には手をつけなかった。隣のテーブルはフランス人女子2人と韓国人2人、おじいちゃんの5人で、韓国とイタリア人のおじいちゃんが魚を食べた。
1泊する欧州勢は、食事はどうするのだろうか、心配になった。
ヨーロッパ勢は高校卒業後の学生だった人たちが多く、「卒業後どうする」って話になってきた。そして、スウェーデン氏は教育改革の話をし、その反対側のテーブルでカナダ人夫妻はきれいな景色にホテルが打ち立てられることを残念だと話した。ドイツ人はデジタルネイティブとデジタルイミグランツの話をしている。
彼らの話を聞きながら、デジタルでは実感できない景色と海の匂い、そしてぼろぼろの船を眺める。魚を食べ終わったころ、なんでハロン湾ツアーに来たのかという話題になり、おじいちゃんが口を開いた。
「Because this travel is my good bye travel」
スウェーデン人が聞き返す。「What is it meaning?, You go back to Italy tomorrow?」
おじいちゃんが答える「Non, before I die」
そのあとスウェーデン氏は微笑んでおじいちゃんの肩をたたき、「Enjoy!!」と言った。
ガイドによるとこのあと船は入り江に入り、みんなで洞窟にいくようだ。
洞窟を通って、島の反対側に出て、船でクルーズをして帰るプランのようだ。
しばし、みんなで船のルーフトップへ上がり景色を楽しむ。
入り江が見えてきてたくさんの船が止まっている様子が確認できると、下からガイドが「Let’s Go」と呼んでいる。下に降りるとおじいちゃんとガイドがもめている。
「I want to see」
「But so many steps」
船は自分たちを下ろすと、島の反対側へ向かって出港した。
そして、船上に寂しそうな顔をしたイタリアおじいちゃんが見えた。
洞窟の中に入ると、確かにToo many stepであった。
そしてベトナム風にLight upされた洞窟の中はとても派手…煌びやかであった。
煌びやかすぎる洞窟を一通り回ると、穴から外に出てくる。船が洞窟の反対側に迎えに来ていた。もちろんイタリーおじいちゃんと一緒に。とりあえず取った写真を見せてあげた。
そして船に乗り込み、島影から見える船着き場に帰っていた。
帰りはワゴン車に10人が寿司詰めで大変だったのは内緒だ。