シルビオ・ゲゼル 自然的経済秩序
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前回はSwift demandって言ってCrypt currencyBasic Incomeの実験をしている話をしました。

600コインくらいありますが、問題はプラハの街に出ても使えないということですね。

実はまぁ中国あたりだと、お金は貝銭とかから始まって刀銭とか、まぁそういう一見無価値なものが使われていたので、多くの人が、そのお金の価値を信じるということが大事なのかもしれません。

英語でもMoneyとかBill()の他に今でもBucks()とか、Currencyとか言われています。

まぁCurrencyCurrentしなくなったのが最近の問題でもありますが…

そして最初は人類の人口もそんなに多くなかったので、金を銀行に預けて、金を預けた証明書を交換に使うことによって、貨幣の価値を信用してもらっていた歴史があります。要するに金と交換できるから現金として使えるということです。

そして第2次世界大戦後、ブレトンウッズ体制と言って、各国通貨を米ドルと交換し、金1オンスは35ドルという比率を設定することによって世界経済を安定させてましたが、ニクソンショックによって終わりを告げました。

そもそも金は鉱物なので、実際の経済が拡大するほど、お金が必要なので金をもっと必要とするのですが、そうそう人間の都合によって取れるものではありません。

しかしながら、それでも人は分業が発達した社会で交換手段を必要としますし、それが貝だろうが、皮だろうが、合意をすれば貨幣という交換手段として、社会の仕組みとして通用するということなのだろうと思います。

ここで、私が知っている限りの「銀行券」以外の貨幣について説明します。

政府紙幣

政府が発行する紙幣のこと。日本円のコインもある意味政府紙幣…

香港では10香港ドルは香港政府により発行されている政府紙幣で、つまり政府紙幣と銀行券は両立するし、両方とも発行されることもあります。

アメリカでは政府紙幣を発行しようとすると、なぜかリンカーンやケネディ大統領のように暗殺されてしまうが、財務省的な場所は3億ドルを限度に政府紙幣を発行できる権限があるらしいです。

日本の藩札や古代中国では札を発行しすぎてインフレを起こしたりしていた。でも、まぁ銀行券でも誰かがやろうと思えばできるので、厳格に管理しなきゃいけないというのは間違いないでしょう。

ヘリマネ

最初はお金かと思っていたが、ヘリコプターから都心に向かって金をばらまくこと…

ではなく、そんな感じでマネーサプライを大量に増やす経済政策のことだったようです。

ただ、どこの国でも不況に対抗するための「最終手段」らしい。要するに国債を発行しないで、銀行券を大量に発行して財源に充てる。そんでもって返さなくても良い借金みたいな感じになるんじゃね?みたいな話のようです。

ただ問題が1つあって、仮に市場に10万円くらい撒いたとしても日本人のことだから、お金貯めこむよねということらしい。アメリカでなんでBernankeFRB議長がそんなことを主張したのかと言うと、アメリカ人の消費の仕方がもともと半端ないからかな…というのも要因な気がします。

地域振興券

一定の条件を満たした国民に額面1000円をクーポン券として配布した政策。額面以上の買い物をしてほしいからお釣りを出すことを禁止したらしい。まぁレジ係だったらめんどくさいもんね。

目的は年金額や収入の少ない高齢者支援と子育て支援が目的だったらしく、15歳以下の子供がいる世帯と条件についていました。

経済企画庁によると、2000億円GDPを押し上げたらしい。ただ、Basic Incomeみたいに恒久的な政策ではないので、消費の先食い(今のうち買っちゃえ!)も指摘される。2000億円はGDP0.04%くらいだという。最終的な使用率は99.6%だったという。

定額給付金

すげぇ簡単に言うと政府版地域振興券の銀行券バージョンです。ちなみにアメリカでは定額給付金は貯蓄に回って経済政策としては失敗したらしいです。

上記の地域振興券と定額給付金について、アメリカだとブッシュ政権の小切手配布だとうまくいってて、台湾だと馬英九政権の「消費券」だと効果があったりで、なんか「銀行券」の時と反応が違うのか?という気もしますが、検証できなさそうなので心の隅に置いておきつつ、話を進めます。

政府紙幣だと厳格な管理が必要とされる(銀行券もだけど)、ヘリマネだと貯蓄に回りそう、地域振興券や定額給付金だとあまり意味がないけど、これは期間限定経済政策というのが問題なのかなという気もする。

実はかなり昔から知ってたけど、ちょっとこういうのは面白いなというのが1つあるので、紹介します。

減価する貨幣

ドイツ生まれのシルビオ・ゲゼルという人が提唱した貨幣で、彼は最初は商人で、商売にすごく関心があったのですが、アルゼンチンに移住して兄の店の支店を出した後、アルゼンチンはバブル投機の現金化から恐慌が生まれました。それをきっかけに彼は経済に関心を持つようになり、「貨幣ってさぁ、そこにある林檎とかさ、麦とかさ、機械とかみたいに劣化しないじゃん。これで人間は金を絶対的なものだと思っちゃってるんじゃね?」みたいな仮説に至ります。

金ってさそもそも交換するためにあるCurrencyなんだぜ。じゃあさ、金を劣化させちゃえばいいじゃんという発想に至ります。「そしたら皆使うことを志向することになる」というのがゲゼルさんの発想です。ちなみにケインズは、「マルクスに耳を傾けるくらいなら、よっぽどゲゼルの方が良い事いってるぜ!」という評価をしていたそうです。

これを実現した街がいくつかあるのですが、その方法として一例をあげると、「毎週水曜日に劣化、劣化は政府(というか管理する人)の印紙で補うことができる。1000円で印紙は300円、劣化額は500円」みたいなルールだったりします。印紙はたぶん銀行券で買うので、銀行券と両立する紙幣なのだと思います。

ただ、今はCrypt currency日本円みたいなの作ってもできそうな感じがしますよね。スイカやお財布携帯みたいに。

(あっちの国のスマホはちょっと怖い。)

この人結構壮大なこと考えているのですが、彼の著書の自然的経済秩序(Die Natürliche Wirtschaftsordnung; The Natural Economic Order)に書いてあります。

実はシンガポールである友人に中華料理店で青椒肉絲貪りながら、笑われるかもしれないけど、この人頭良いから大丈夫だ!って思って話してみたところ、「なるほどね。じゃあそれをBasic Incomeとして支給すれば良いじゃん。そしたら、経済の回転もある程度保証できるし」みたいな話になりました。

なるほどなぁ…Basic Incomeかと思いましたが、今は自分がBasic Incomeについて考える側です。

Basic Incomeで増税なしで実現できるのは5万円程度だと言われていますが、7万円くらい支給すると考えると、現行の「貨幣」ってシステムを工夫することも必要なのかなという感じもします。働けば貯蓄できる。働かなかったら減価貨幣?

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