上海人というもの

初めに断っておくけど、自分の周りには上海人の友人は居ない。

ただ、自分の周りの自称上海人達を通じて、上海人のイメージについて書いていこうと思う。

上海人の性質

私の前の職場の日本人の同僚に、過去に上海で働いていた人がいて、上海にある某ホテルのコールセンターで働いていたという。彼女は当時の様子を「今日は英語の担当だったから英語で電話に出たのよ。そしたら、英語で話すなって怒られて、中国語で話したら、『上海語で話さんかい!』って怒られたのよ」という体験を教えてくれた。

また、上海人は上海の外、蘇州とか寧波とかそういう近くも含めてではなく、上海市の外の人間を「外地人」と呼ぶらしい。中国でも日本と同様に車のナンバーでもナンバーに「 」という字が入ってるのが上海ナンバーで、「蘇」=江蘇省や「浙」=浙江省などのナンバーは上海で外地ナンバーと呼ばれているようだ。

本当の上海人に成田で会った時はWhere are you from?と訊くと、Shanghaiと答え、

I see. You are from China.というと、I am not Chinese. I am Shanhainese!と言われたという話もあり、

「なんだよシャンハイニーズって言いずらいな」とか思いました。

何かしら上海人は自分が上海人であることに誇りと言うか、傲りがあるのかななんて思った瞬間でした。

自称上海人たち

海外でぱっと出で会う中国人には上海人を初め、広州、北京、天津、山東、大連の人などと会いました。この中では大連の人は日本人に親切な傾向があり、中国人曰く一番大阪っぽいのは上海ではなく天津の人なのだそうです。ちなみに漫才みたいなのが面白いのは広東省(というか広東語圏)という話もあります。

北京上海は東京大阪みたいなものとは全然違うかもしれないと思いました。

ちなみにWhere are you from? 你來自哪裡?と訊いて「上海」と答える人は多いです。ただ、その中には上海以外の出身の人が表層的な付き合いをしている時の自己紹介でもあります。自称上海出身者の中には蘇州、寧波、揚州の他に青島の出身者もいました。

だいたい中国人は日本人は中国の地理に疎いから、説明がメンドクサイと思うこともあるらしいです。そして中国語の発音がよくわからないからという理由もまたあるらしく、例えば「湖北と河北とか日本人には難しい」と言われました。「まぁとりあえず上海って言っとけ」みたいな話です。

ただ、青島の人は少し違いました。その人とは香港の重慶マンションのホステルで会ったのですが、自分が「なんか上海人ってさ性格悪いって聴くよね。本当なの? 確かに広東とか山東とか遼寧の人とか結構親切だけどさ」って話を振ると、「あぁ実は山東省出身なんだよね」という話でした。彼女の場合は海外留学から帰って来て、上海の戸籍をGetしたので、上海出身ということにしているそうです。

同じ職場で働いて2、3か月してから、職場の中国出身者が出身地を教えてくれることがあります。私も何故か空気を読んでシンガポールで新しい人に人を紹介する時は「中国出身」としか言いません。あとはその人間関係次第で勝手にしてくれって思っています。

なぜなら、中国人社会だと一緒にいた時間に応じて、その人との親しい度みたいなのが変わってくるからだと思います。逆に中国人は日本人は時間に応じて関係が深化していかない場合があるから理解できないと言っている人もいます。

このように自称上海人の中には本当は上海人ではないけど、「とりあえず上海人」という人もまぁいます。

なぜ上海?

私は「どうして上海人はそこまで上海人であることに拘るのだろう」と疑問に思ったことがあります。歴史上、上海に村っぽいものができた時、既に南京や蘇州や寧波は立派な都市として存在していました。所謂田舎の漁村で、そこは何だか横浜の歴史と被りますが、横浜の人と上海の人は全然違います。ただ、両方とも昔から生粋の上海人、横浜市民というのがどれほどいるのかは疑問です。

中国の歴史では、印象としては「パっと出の新興都市」みたいな感じなのかもと思います。

このパッと出新興都市は昔は上海県城(今の豫園付近)として発展してきたのですが、阿片戦争後の南京条約後から開港され、外国の租界ができます。ここで上海人は外国の文化に触れて、「上海人は他の中国人より文化的」みたいになって、上海人は誇り高い…

という説もあるようです。

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本当に…そうかな?

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と私は思いました。確かに地下鉄のマナーも良くなったけど、それは万博があったからの話でそれ以前はヤバかったと聴きますし、上海人が「北京人はマナーが悪くて田舎丸出し」と言ったとしてもあんまり関係ないと思っています。北京人からすれば「うっせーバカ!」としか思わないかもしれません。

でも、北京人曰く、「上海人はお金ばっかりで計算高い」のだそうです。これは面白い。
そして上海は女性が強く、男性が家事をやっていて、みたいな感じで、とても強いです。

文化的な優越もあるとは思いますが、私が邪推するに、その時の租界と資本主義、そしてその都会のカオスと競争が上海人の誇りを作ってきたのかなと思いました。租界は治外法権なので、治安当局も各外国租界と連携して治安維持にあたり、阿片屈は合法化され課税されて、黒社会の人間は跋扈し、外国勢力の争い、ギャングの抗争、そして政府内でも派閥争いがあり、昨日の金持ちが今日の文無しと言ったような環境だったそうです。

上海の競争は形を変えて今日に繋がります。新しいビジネスにどんどん参入し、今ではスマホで何でもできるある種物凄い進んだ都市になり、チャレンジ精神も旺盛です。

普通のOLが仕事をしながら株にお金を突っ込んでスマホで株を取引して本業以上の利益を稼ぎ出すのだそうです。お金はすごい勢いで回っていますが、一歩間違うと怖いと日本では思うかもしれません。

今でも魔都は上海の異名となっています。競争が激しく、弱肉強食、何が起こるかわからない上海…

心の底では…上海人の誇りとは、文化的な上海人と言うよりは、そういう上海と言う場所の都市の混沌で生き残ってきた自分自身に対する誇りのような感じがしました。

 

 

這就是上海灘!