今日は9時くらいに起床したが、しばし惰眠を貪った。この日は日本ではまぁ有名な話である杉原 千畝領事代理の功績を尋ねに、かつての在カウナス大日本帝国領事館を訪れることにした。

宿から一旦駅の前の通りに出て、そこを左に曲がり歩き続ける。

しばし歩くと、陸橋と会談があるのでそこを上ると、森の中に出て、大きな木を左に曲がる。

閑静な住宅街が目の前に現れ、そのなかの住居と一見変わらない建物が、かつての領事館であり、今の博物館のようだ。

中に入ると、現地の日本語の堪能な方が出迎えてくれる。

メッセージノートもあり、日本人のツアー客も来ているためか、日本語で書かれたものが多い。

初めにテレビ福井が制作した15分のドキュメンタリーを見る。

敦賀港の視点から制作されており、地方局ならではの視点から敦賀に到着したユダヤ人難民や歴史的な視点、そして実際の避難民が敦賀を「天国のように感じた」と回想する様子、そして杉原 千畝領事代理の命のビザについて知ることができる。

ユダヤ人が日本に着いた時、「皆が1つの林檎を1口ずつ食べていた。」「非常にうれしそうだった。」「銭湯が1日無料で開放された」などの証言があり、敦賀の人々は他の時と同様に、多くのユダヤ人に手を差し伸べたようだ。

当時はナチスドイツの台頭とユダヤ人の迫害、そしてヒトラーのポーランド侵攻によってリトアニアへユダヤ人は避難した。そして日本では紅い教員組合集団が大手を振るっていた時代があったので、あまり知られてはいないが、ソビエト連邦はエストニア、ラトビア、リトアニアを併合し、ユダヤ人を捕まえてはシベリア送りにしていたようだ。

ナチとスターリンがやっていることは似たようなもので、フィンランドでもソ連のせいで冬戦争が始まった。ユダヤ人が第3国に逃れられるルートは日本を通る以外になかった。

しかしながら外務省は、「受け入れ先が決まっているもの、十分な預金を持っているものに限りVisaを発行して良い」としていたが、杉原さんは預金の有無に関わらずビザを発行した。

ソ連はリトアニア併合後、ソ連はカウナスの大使館を閉鎖するよう要求し、大使館が閉まるまでの間、手書きでもVisaを発行し続け、閉鎖後は大使館の軒先でも発行し、ベルリンに向かう汽車の中でもビザを発行し、ユダヤ人の命を救った。

博物館には「人名がなにより大切だ」という旨のことを言って夫の杉原 千畝領事代理を支えた妻の杉原幸子さんの写真がおいてあり、私はなぜか手を合わせていた。

 ユダヤ人はVisaを申請しに来るとき、「受入先の国」について尋ねると必ず「大丈夫!」と答えたという。これにはある立役者が居て、その方はオランダの外交官、ヤン ツバルテンディック(Jan Zwartendijk)氏だ。彼は「在カウナスオランダ領事は、本状によって、南米スリナム、キュラソーを始めとするオランダ領への入国はビザを必要としないことを証明する(引用:PHP研究所 戦場の外交官杉原千畝)」という内容の外交的には意味のないビザもしくは、de facto visa(事実上のビザ)を発行し、杉原さんもそれに気が付いていたが、ビザを発行したようだ。

 また、別のドキュメンタリー番組ではカウナスでは大使館が閉鎖されたため、モスクワでビザを申請してほしい旨の手紙がカウナスで配られ、それと例のキュラソービザを持ってモスクワに行ってビザを申請した人もいるらしい。

 このオランダの領事の功績もこの記念館で同様に讃えられている。杉原さんはカウナスのあとはプラハなどに駐在し、最終勤務地はルーマニアでその後ルーマニアのゲンチャ収容所に送られた。帰国後、「カウナス事件」により外務省から退職勧告を受けた(か懲戒免職)なのかという形で退職した。この辺は調べてみると奥深いので、興味のある人は調べてみてほしい。

 ユダヤ人難民はシベリア鉄道に乗って、その後ウラジオストクからアメリカのユダヤ協会の依頼でJTBが手配したはるぴん丸などが敦賀へと難民を運んだ。操船は日本海の荒波で困難を極めたという。その後、アメリカやオーストラリアへと日本から旅立っていった。一部は上海に入港し、ウィーンの中華民国領事館でこれまた上司の命令に逆らってビザを発行した何鳳山に救われてやってきたユダヤ人と同じところに住むことになった。

 ソ連がユダヤ人を通過させる ことについては、PHP研究所 戦場の外交官杉原千畝という書籍によると、杉原 千畝領事代理がカウナスのソ連領事館に行って、そこの領事に意見を求めた時に、ロシア語があまりに綺麗で圧倒され、「貴国がビザを発行するなら、ソビエトを通過することには問題ない」と言わせて、そのあとでビザを発行したということだった。たぶんその裏にもなにか色々あったのだろうと想像する。

 聴いただけだと単純に良いことをしたと思いがちだが、これを実現できたのは杉原さんのような力量のある外交官ではないかと思う。

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