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 シク教徒は日本ではあのターバンを巻いているインド人として、インド人のステレオタイプになっている一方、海外では富裕層が多く、経済的に力を持っていて連帯感のある人たちとされている。アムリトサルはそんなシク教徒の聖地となっている黄金寺院がある。

 この黄金寺院の周りの道路は彼らの一体感を反映してか、牛糞もなく、ゴミも捨てられていない、今までインドで見た道路で一番きれいな道であった。そしてところどころ黄金寺院周辺の道路と普通のインドの境には門があり、その門を境界としてボロボロの建物とゴミだらけの普通のインドが垣間見れる。

 黄金寺院(Harmandir Sahib)に入る前に、まず靴を脱がなくてはならない。そしてバンダナのようなもので男性は髪の毛を覆う必要がある。寺院の中に入ると足裏を清水で清め、中に入る。階段を下るとアムリトサルの名の由来となった不死の池(Amrit Sarovar)がある。その四方には水を頂ける場所があり、ボランティアのシクの女性が皿を洗ったり、水を入れたりといったことをしていた。

 水を頂くと、暑い体に染み渡った。シク教徒はこの不死の池で沐浴することを許され、ガンジス川に身を沈めるよりも幾分心が綺麗になりそうな、清らかな水に浸かることができるシク教徒を羨ましく思った。

彼らの聖地である黄金寺院はシク教の信者でいっぱいだったが、太陽光を反射させて金色の姿を煌めかせていた。

 その輝きの向こう側で、アムリトサル大虐殺や、ガンジーの暗殺、そしてムガル帝国時代からのシク教徒の苦難があり、その結果今でもこうして黄金寺院が輝いているのかと思うと感慨深さもあった。

 黄金寺院を後にすると、インド人ツアーガイドに声を掛けられる。なにやらインドとパキスタンの間の国境でClosing Ceremonyをする時間が迫っているということで、ツアー客を集めているようだった。ツアー代金の150ルピーを払って、インド人の家族とシク教徒のドライバーが運転する車に乗り込んだ。

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