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日本時間8
時15分、朝目覚めると船は大洋の中を突き進んでいた。波は昨日関門海峡を抜けた後より穏やかになり、ひたすら大海原の中といった感じで、視界から船は数えるほどしか見ることができない。

8時45分に朝食を食べに行く。ビュッフェ式であるが、食堂で余っているものはあまりなく、お粥と肉まん、オレンジジュースといった組み合わせとなった。なお、朝食だけは無料らしい。そして、昨日の夕飯よりもおいしかった。自室へ帰り、しばし惰眠を貪る。横になると、体全体で穏やかな波を感じることができるように思えた。

 14時ごろになり、お湯を取りに行って、遅い昼食となった。カップ焼きそばを作っていたのだが、殺風景な洗面所で待つ3分は、かなり長く感じた。窓際に座り込み、カップ焼きそばを食べていると、知らない人と世間話をする。中国の人は化学調味料に嵌っているかもみたいな話だった。

 そのまま時間を持て余すこと4時間、18時になり、漁船の姿が目につくようになる。中国の国旗を掲げた中国籍の漁船が船の周りに7隻くらい浮いている。大きな船の来る航路の周りに船を出すと、フェリーや貨物船がスクリューでプランクトンをかき回すため、そこを漁場にしているらしい。ただもっと話を聞いたところ、昼間に定置網を張っておき、夜に引き上げているということという説もあり、人によって意見は異なった。この船も上海まで少なくとも15時間ほどかかるので、浮いている漁船の母港が気になる。そして、どのくらいかけて母港へ帰るのだろうか…

 

 

 19時になっても外は明るかった。見渡す限りの海原に、夕日が沈んでいく様子をみることができた。丸い夕日は沈むのは思ったより早く、10分程度のできごとであった。福岡から来た同僚が会社で「関東は本当に暗くなるのが早い」と言っていたことを思い出し、むかしは不思議に思っていたが、納得することができた。夕日がオレンジを海に溶かして姿を消した後も、外は明るかった。

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