(2013年3月29日に書いた記事です)
 カンタスとエミレーツが組むらしい。というわけでカンタスとブリティッシュが組んでフライトを飛ばしていたカンガルールートは終わった。オーストラリアからヨーロッパは来月(正確には今月31日)からドバイ経由だ!
ロンドン行きのQF1便も、もちろんドバイ経由だ!!
大戦後からブリティッシュ航空が英国海外航空って名前だった時代からの提携が突如終わってしまうんだから世の中わかんないものですね。ちなみにカンタスは何気に英語圏で一番歴史のある航空会社なのだそうです。
シンガポールのフリペによると、この提携期間は5年間。カンタスはドバイに飛び、拡大政策イケイケドンドンでヨーロッパにフライトを飛ばしまくるエミレーツのフライトと接続し、カンタスはオーストラリア行きの旅客を引き受ける。ヨーロッパ70都市と他を含めると98都市と結ばれるらしい。

エミレーツもオーストラリアからオセアニアの50都市と結ばれるようです。

今まではロンドンなど5都市と結ばれてしたが、エミレーツのネットワークを使うとこうなります。

「この提携後に地域内で飛行機の便数を減らし、こいつらが値上げに走るんじゃないか」と懸念する各国、具体的にはシンガポール、ニュージー、オージーの公正取引委員会によって「オージーからニュージーへの便数を維持するんなら提携を認める」ということで提携に至りました。
これでヴァージンオーストラリアとの競合があるなら、オーストラリアとニュージーランドの間は供給が増えて安くなるんじゃないと期待してる人もちらほら。
原油高には強いが経済危機には弱い
イスラムの地にファンドがとか驚くかもしれないが、ドバイには多い。そしてアメリカ発の経済危機により、エミレーツ航空も景気悪化の煽りを受けるました。
航空業界にとって原油高は脅威です。ただし中東は原油高になると景気が良い。エミレーツも新型機発注しまくりで羽振りが良かったのです。いまでもいいけど。
オーストラリアは地理的に他の地域に飛ぶまで長距離フライトになるので、カンタスにとって原油高は痛い。そういうときにエミレーツみたいなのに入ってこられて価格競争になると、とても辛いです。エミレーツを見て「こいつとは組んでしまったほうが得策なのかもしれない。」と思ったのかもしれません。
ちなみに某米国系航空会社のスタッフは「じゃあ為替やるにはオーストラリアにしよっか? それとも日本円?」と悩んでおりました。日本人の私は円高やっほいとばかりにシンガポール行きました。
最終日3月30日

まぁ真意はともかく、面白いことになってきましたね。ブリティッシュもカンタスも同じワンワールドなのにこういうことあるんですね。むしろ、ワンワールドだからなのかもしれません。

カンタスがシンガポールを経由する最終日はこんなことになっていました。

まずここにJetstar★って会社が沢山出てきますが、カンタスグループのLCCです。
路線は充実してます。2枚目のQF2はドバイ経由になりますが、シンガポールを目的地にする便もあります。カンタスがドバイに移ってもBAはシンガポール経由なので、BA15ロンドン発シドニー行きと被ってます。

アジアではOne WorldのキャセイとカンタスグループのLCCに接続できるので、行き先は広がります。もちろん同じワンワールドのJALにも接続できます。写真はAA5868となってますがJLの便です。エミレーツも今まではシンガポールを更に経由してオーストラリアまで飛ばしてました。なのでシンガポールからドバイはこの短時間にも関わらず便数は多い状態です。

5枚目:ドバイ経由のネットワークで接続してないフィンランドのヘルシンキはシンガポール経由でフィンエアーがやってくれます。ヘルシンキへはこの便が一番早いです。JetStarも最近は遠くまで飛ぶので、台北経由大阪行きもあります。

その後にCathayPacificのCX714香港行き、JAL710成田行きです。この成田行きはアメリカン航空ともコードシェアで、成田からアメリカン航空がアメリカ各地へ飛びます。

このように同じワンワールドに加盟している便やグループ企業のLCCを有効活用することによって、フライトをシンガポール経由からドバイ経由に移し、さらにパートナーのフライトでヨーロッパへのネットワークを増やせるというわけです。また、LCCの方が便数は細かく出せますし、値段が安いので、東南アジアでは乗れる人の数(マーケット)が広がります。JetStar Asiaの拠点はシンガポールです。そのため、地域内の目的地への便数はとても多くなります。ただLCCは、Point-to-Point、目的地から目的地へという戦略で、1つの飛行機で1日3路線を飛んだりすることが少なくないので、飛行機が故障すると3路線いっきに欠航になってしまったりするデメリットがあります。しかし、ヨーロッパ便を増やすという一方でアジアではパートナーやグループ企業のLCCを有効活用することによって低コストでカンタスのネットワークを維持できます。
逆にカンタスやエミレーツはハブアンドスポーク戦略で、シンガポールやドバイをハブとして使用し、接続便により目的地を増やし、利用客の利便性を向上させる戦略です。

今回カンタスの新たな経由地になるドバイは、イギリス人の人口が多く、また余談ですが、インド人の人口も多いです。2006年には60,000人の人口がいるそうです。ドバイは東インド会社の時代から貿易で栄え、金融センターとなり、経済の石油依存度は半分以下になりました。

ブリティッシュエアウェイズはドバイからロンドン行きを朝便と夜便で2便飛ばしています。それにカンタスの便が加わり、コードシェアも行われるかもしれません。そう考えればロンドンとドバイを往復する人たちにとっても、それほど悪い話ではないかもしれませんね。