それはLCCです。

LCCと言っても飛行機ではありません。

列車です。
列車と言っても高速列車なのです。TGVです。日本で言えば新幹線ってとこでしょうか。
登場はまぁかれこれ1年前くらいになるのかな?
あーあ、またホームページに10ユーロとか書いちゃって…
10ユーロって大雑把に計算しても1,200円くらいですよね。2,000円はいかないはず。
日本だと片道1,200円が許されるのは18きっぱーまでですよねー
まぁフランスだからできる、というかやる、格安トレイン大作戦について、テキトーに紹介しよう。

そもそもTGVとは

TGVとは、フランス版の高速鉄道である。約300kmで営業運転し、新幹線と同じくらいの速さ。
でも新幹線とは似て非なるものである。新幹線が電車なのに対して、TGVは機関車と客車で構成されている。そしてTGVは在来線(要するに普通の電車が走るところ)に乗り入れたりする。

TGVの最大のライバル。それは航空機である。これはフランスを走る交通機関の宿命なのかもしれない。地理的にフランスは都市圏と都市圏の間が離れていて、また、パリに一極集中しているため、路線はパリから放射状に延び、都市と都市の間の人口密度が極めて低い。

TGVが最初に開業したパリからリヨン(Lyon)の間でも約400kmある。ちなみに東海道新幹線の長さが508kmである。東京から名古屋の先の米原までが408kmである。

つまりパリを出てから東名高速の起点から終点までを飛ばしっぱなしというわけである。逆に言えば長距離になればなるほど航空機との競争で航空機が有利になり、鉄道ならではの各駅の乗客を乗せながらというよりは、Point to Pointをいかに早く結ぶかということが重要になってくる。

航空機と新幹線の競争では「4時間の壁」と言われ、一般的に4時間より列車の所要時間が長ければ航空機に有利になってくる。(例,東京-博多)

このためTGVは1,000kmを3時間で(つまり平均速度が333km/h以上)っていう野心的な目標を抱えている。そのためこんなこともやってみたり・・・


↑時速574kmで走るTGV

まぁTGVの最大のライバルは航空機なのである。

格安航空との戦い

空港へのアクセスにかかる時間も必要なく、航空機よりトータルで速いTGV。しかしそんなTGVにライバルが現れた。それは格安航空会社である。ヨーロッパは日本よりLCCが発達している。そして安い。飛行機の旅は以前は速く快適で高価なものだとされてきたが、TGVに速くを覆された分航空会社は「高価」を捨てたのであった。だんだん値段で優位ではなくなってきたTGVが考え出したのがOuigoだ。


これがOuigo。まず格安航空会社のようにシートは革張り。これでシートに吐かれても、ジュースを溢されてもひと拭きで元に戻る。洗濯の必要はほぼ無いだろう。

そしてLCCと同じように切符はインターネットで取り、駅のホームに30分前に来て、手荷物制限(1bag policy)を超えていないかチェックを受ける必要がある。

また使用している車両は機関車以外全部2階建てのDuplexってやつで日本のMAXでもこういうのできたんじゃないかなって今考えると思ってしまう。

そして座席は1種類で 1 class1 seat 1 bagというシンプルな構成である。

なお、最初の実績としては30,000席が30時間で売り切れになったそうだ。

Ouigoの路線

1.上下分離方式

フランスやヨーロッパでは上下分離方式という方法が採用されている。簡単に説明すると線路の持ち主と運営者が異なるという方法。運営者は線路の持ち主に線路使用料を払っている。ちなみに日本では線路の持ち主も事業を行って列車を運転している会社も同じ会社というのがほとんどだ。

ちなみにフランスはOuigoやSNCF(Société Nationale des Chemins de fer français:フランス国鉄)が列車を運営している。Ouigoはフランス国鉄の子会社のような存在だ。

実際にイギリスでは同じ線路の上を色々な会社の列車が走っている。イタリアでも国鉄と民間企業が張り合うらしい。SNCFが「電車なんかイラネ」といって買わなかったAGVを買ったのもこのイタリアのNuovo Trasporto Viaggiatoriという(インフラを持たない)新興電車会社である。それに備えてか、イタリアの列車は前よりだいぶ時間に正確になったらしい。

ただし日本ほど線路が過密ではないので、ヨーロッパと日本では条件がだいぶ異なる。そして通勤と郊外行きの列車が使う線路が異なる場合もある。日本でもそれが分離している路線(今埼京線が走ってる貨物線とか)があったが、そこにも湘南新宿ラインなどが入り込んでいる。そして15両編成が3分おきに来て、毎日民族大移動という状態とは異なるので上下分離が可能なのである。

まぁ鉄道会社の負債がものすごいことになっているという裏事情も存在したりしなかったりだが。

送電網と電力会社の分離や線路と運営会社の分離や、欧州と日本ではインフラやその公共性についての考え方が異なるようだ。

2.武蔵野線作戦

OuigoやSNCFのような運営会社が払う線路使用料はパリの都心部に近いほど高い。そこでOuigoはパリの30km東のMarne-la-Vallée駅から出発する。パリのディズニーランドに近い駅らしい。

この駅はTGVのLGV Interconnexion Estという路線上にあるのだが、日本にある路線で簡単に言えば「武蔵野線」である。パリからロンドン・ベルギー・オランダに向かうTGV路線からパリからドイツのストラスブルグに向かう路線、そしてリヨンに向かう路線と接続されている。

ちなみに都心部まで入り込んでも駅は行き止まり方式のターミナルである。

各路線を結ぶために存在している郊外路線でこの路線を使ってTGVはパリの国際空港に乗り入れたりする。そして将来Ouigoはこの路線を使ってビジネスが成功すればベルギーやオランダまで路線を延ばす計画のようだ。